プロローグ
社会人2年目になり、学生の時より娯楽にお金を使えるようになってきた。
くすぐりフェチである俺は、プレイ相手を見つけるためにまず清潔感を磨こうと考え、脱毛することを決意する。
一度Instagramで脱毛の広告を目にしてから、やたら頻度高く表示される脱毛広告。
どこが良いのか分からないが、とりあえずアクセスしやすいところにあり、比較的安めのクリニックを選び、上半身脱毛の手始めにメニューで申し込んだ。
そして、今俺は受付を済ませ、待合室で番号札を持って自分の番を待っている。
脱毛をする際には、事前に剃っておく『剃毛(ていもう)』というものが必要らしく、昨日は1時間以上、自宅の鏡の前で電動シェーバーを身体に当てていた。
SNSに流れてくる広告には、痛みは軽減される機能があるから耐えられる程度とあったが、YouTubeでレビューを見てみると結構痛いとの声もあった。
痛みはどんなもんなんだろうか…
少し不安になりながら待っていると、自分の持つ番号がついに呼ばれる。
初回ということでお医者さんのカウンセリングを受け、諸々の注意事項などを説明された後、ついに施術の個室へと案内された。
「看護師が案内しますので、こちらでお待ちください」
お医者さんは個室のカーテンをシャッと閉め去っていき、俺は施術台に座りながら部屋にあるマシーンや薬を見回し、落ち着きなく待機する。
ゴムで弾かれるような痛みがあるとの説明だったけれど、どの程度の痛みなのだろうか…
それに、この白く明るい部屋で自分の手を見てみると、まだ若干産毛が残っているように見える。
昨日脱衣所で剃っていた時は剃り残しが無いように入念にやったのだが、明るい部屋だと剃れてない毛が目立つな。
背面は自分でシェーバーを当てるのが難しかったので、腕よりさらに剃れてない部分があるんじゃないだろうか。
看護師さんに怒られないかな…
施術開始
ソワソワしながら待っているとコンコンとノック音が響き、「失礼します」と一声かけて看護師さんが入ってきた。
「月島さんでよろしいでしょうか?」
「は、はい、ダイジョブです」
ショートカットの可愛い女性だったので、少しモゴモゴと返事をしてしまった。
「本日担当いたします、椎名といいます。よろしくお願いします」
挨拶を済ませ、看護師さんがカルテを見ながら手早く準備を進める。
「本日は初回ですね。では早速上半身の服は脱ぎ、うつ伏せになってください」
そう案内され、風俗嬢と元カノ以外の女性の前で上裸になることに恥ずかしさを感じながらも、指示通り服を脱ぐ。
「はい、ありがとうございます。まずは剃り残しが無いか確認しますね」
看護師さんの顔が近いことがうつ伏せになりながらも気配で分かる。
「肩甲骨周りとか、結構薄い毛が結構残ってますね。あ、この辺も。全体的にシェービングしていきますね」
やはり剃り残しがあったようだ。
「あ、はい。すみません」
「完全に剃ってきて頂くのが理想ですが、これくらいであればすぐ処理できるので大丈夫ですよ」
看護師あるあるなのか、慣れた様子でポケットからシェーバーを取り出し、ウィーンと機械音が鳴る。
背中の下部にシェーバーの刃が当てられ、スーッと上に滑らせてくる。
皮膚を傷つけないようにか、そーっと当ててくれているのが絶妙にくすぐったい。
身体に力が入り、動かないようにしつつもピクピク動いてしまう。
くすぐりフェチなのでくすぐったいのは好きだけど、純粋に恥ずかしすぎる。
看護師さんはどう思っているのか?
俺がくすぐったがっているのはバレているのか?
「はい、剃毛完了です。次に印付けをしてからレーザー脱毛に入っていきますね」
「はい」
ふぅ、羞恥タイム終了か。
次の工程で何が行われるのかは深く考えず、シェーバーを当てられている間ずっと力んでいた身体から力を抜く。
次は何て言ってたっけ?
レーザーの前にまだ何かしてからって言ってたような気がするけど。
うつ伏せでタオルをかけられているので、何をされるのかよく分からないままじっと待つ。
すると、背中下部の真ん中に何か細いものがあたり、スーッと首筋までなぞられる。
くすぐったくて、思わず「んっ」と声が出て体にグッと力が入ってしまう
「すみません、くすぐったいですよね〜」
看護師さんが少し申し訳なさそうに声をかけてくれる。
そうか、そういえば印付けと言っていたな。
今何か肌用のペンで身体に線を引かれているらしい。
そこから背中の肩甲骨周りなど、テキパキと印付けを進めていく看護師さん。
やばい、さっきのシェービングよりくすぐったい…!
この細いペンで素肌をなぞるとか、こんなのくすぐったいに決まってるだろう!
「すいません、あと少しで終わります〜」
くすぐったさを必死に我慢しているのがバレバレだったのか、気を遣って声をかけてくれる。
やばい、くすぐりプレイでもないのにこれは恥ずかしすぎる。
首の根元あたりにもペンが当たり、背面の下から上まで触れられたはずなので、そろそろ終わりか?
そう思っていると、看護師さんから声をかけられる。
「横の方いきますね〜」
よこ?横って、そこは…。
腋の裏側当たりから、背中の横腹寄りをスーッとペンが走る。
「あふっ!」
身体には変わらず力を入れていたのだが、このくすぐったさには耐えられず息が漏れてしまった。
「ふふっ、ここはくすぐったいですよね〜。すみません、逆側も行きますね」
看護師さんは軽く笑われながらも、間髪入れずに逆側も上から下へとペンでくすぐってくる。
いや、くすぐってきているわけでは無いのだが。
どうされるのか予想がついていたので声は出さすにすんだが、つい身体がしなってしまう。
「うふっ。はい、印付けは終わりです」
看護師さんに面白がられている感があり、羞恥心がエグすぎる。
「はい…」
数十秒ほど身体に込めていた力をやっと抜くことができ、ダランと手を垂らす。
やばい、これはすぐりプレイと言っても過言では無いのでは?
そんな俺の動揺はさておき、脱毛の準備はテキパキと進行される。
「では、レーザーを1回当ててみますね」
一声かけられた後、背中の下部にバシッと痛みが。
「この強さで続けて大丈夫そうですか?」
確かにちょっと痛いけれど、まぁ耐えられる範疇だ。
「はい、大丈夫そうです」
そこから背面にバシッ、バシッとレーザーを当てられていく。
部位によっては痛みが強い部分もあるが、なんとか耐えられる。
まぁまぁ痛いので、広告にあった『痛みはほとんど無し』は嘘だったんだなと少し恨みを覚える。
前面くすぐり施術
「はい、背中側は終わりです。次は仰向けになってください」
背中への痛みが止み、そう声をかけられる。
今の痛みがもう1セットあるようなものか…
俺はシングルベッドよりさらに狭い施術台の上で、落ちないようにしながら体勢を変えて仰向けになる。
「ありがとうございます。では、続いて前面をやりますね」
ずっとうつ伏せで、さらにタオルを頭に被されていたので看護師さんの顔は見えなかったが、仰向けになり目が合ってしまう。
最初の挨拶の時に見たけど、やっぱ可愛いな…。
そう声をかけられ、再びタオルを被されてしまった。
「こっちも薄い毛が残っているので、シェービングしていきますね」
「すみません、剃ったつもりだったんですけど」
「いえいえ。背中側よりは剃り残しは少ないので」
背面よりは剃れていたが自己処理が初めてだったので、少し甘かったみたいだ。
再びシェーバーの音が鳴り響く。
あ、そういえば、これって…。
力こぶの裏側の二の腕に刃があたり、スッスッと細かく優しく動かされる。
地味にくすぐったいけど、これなら変な声は出さずに耐えられる。
けど、だんだん上にきてる…。
予想通り、腋にもはが当てられる。
動かないように力んでしまい、拳をぎゅっと握ってしまう。
反対側も二の腕から腋に残る毛を剃ってもらいながら、俺は動かないように拳を握り、変な声が出ないように口もぎゅっと閉じる。
必死に耐えている表情を見られなくて済むので、タオルを被せてもらっていて良かった。
くすぐったいポイントである腋のシェービングが終わったようだ。
それも束の間、看護師さんによる素早いシェービングは絶え間なく続く。
鎖骨周辺もちょっとくすぐったくて、肩がすくんでしまう。
「乳輪周りいきますね〜」
「あ、はいっ…!」
声かけとほぼ同時に乳首のすぐ側に刺激がきたものだから、返事が変になってしまった。
乳首に近いからか一層丁寧に剃ってくれるため、余計にくすぐったい…。
歯を食いしばり、なんとか乳輪周りへの刺激に耐え切ったが身体はどうしてもピクピク動いてしまう。
「すみません…動いてしまって」
「いえいえ大丈夫ですよ〜〜」
そう返してくれる看護師さんの手は止まることなく慣れたように進められ、次はお腹、脇腹に刃が優しく当たる。
動かないように我慢しようとしているのに、くすぐったくて勝手にお腹が凹んでしまう。
「ふふ、お腹弱いんですね。ちょっと触れますね〜」
お腹が凹んだりしてシェーバーが上手く当たらないようで、手でお腹を抑えてくれる。
「はい、剃毛は終了です」
「ふぅ、ありがとうございます」
恥ずかしかった…次は痛いのがまた始まるのか…。
くすぐったいのも大変だけど、痛いのは痛いのでキツいんだよなぁ。
「次は印つけしていきますので、バンザイしてください。」
「あ、そうでしたね…」
忘れていた。背面もシェービングの後はこれだったな。
バンザイってことは腋にもあれが?
俺は恐怖心を感じながらも、言う通りに手を挙げる。
「では、左腋にペン当てますね?ちょっとくすぐったいと思いますっ!」
看護師さんが俺がくすぐったがりなことに気を遣って声をかけてくれる。
腋でスッ、スッとペンが動く。
「ふっ、うっ」
バンザイしている手がビクッ、ビクッと動いてしまう。
「こっちは終わりです。右側いきますね〜」
「はい…」
右側の腋も同じようにビクビクしながらも、施術の邪魔をしないように必死に動かないように耐える。
「ふふ。腋は終わりですよ」
ビクビクしているのがバレていなければと願っていたが、そりゃあバレるよな。
看護師さんに面白がられているのをタオルの下の暗闇でも感じる。
恥ずかしすぎる…。次はどこに、、、うっ!
どこに刺激がきても良いように上半身全体に力を入れて歯を食いしばりながら、まだ続くであろうペン責めに備える。
腋からペンは離れ、3秒も経たないうちに乳輪のすぐ近くに触れ、四角く囲むようにすっすっすっすと動かされる。
タオルを捲られたら絶対ダメな表情をして、声は出さずに耐え切った。
いつまでこの羞恥プレイは続くのか…。
「次、横いきますね〜」
横?ってどうくるんだ?
くすぐったさは、予測できていると軽減できるというフェチ知識をフル活用する。
先ほど印をつけた腋の下あたりにペンがあたると、そこから横腹を通り、骨盤の上のあたりまでスーッとなぞられる。
「あっ、ふふっ」
ウィークポイントの1つを素肌で滑る素材のものでなぞられ、耐えようとしていたにも関わらず息が漏れ、身体が反射的にしなってしまう。
「あはっ、ここくすぐったいですよねぇ。すみません、ちょっと下の方印つかなかったのでもう1回あてますね」
「はい、すみません…」
今度は骨盤辺りから上にスッとペンが動く。
腹筋に力を入れ、なんとか声も出さずに耐え切った。
「はい、逆側もいきますね?」
「は、はい…」
「ふふ、大丈夫ですか?」
さっきまでテキパキとペンがあてられていたのに、俺の返事が弱々しかったからか一回止めて確認してくれた。
「あ、すみません、大丈夫です」
「ありがとうございます。1回で終わるようにちょっと反対側に手添えますね?」
左のウェストに手が添えられる。
身体がしなってしまうので、それを防ぐためだろう。
そして、同じようにペンが腋の下にあたり、俺のウィークポイントをなぞっていく。
「う、ふっ!」
本気で腹筋に力を入れていたのに、息が少し漏れてしまった。
「ふふっ。腹筋がすごいですねっ」
本気で耐えようとしていて、鍛えている腹筋が浮き出ていたのだろう。
「ほんと、やりづらかったらすみません…」
「そんなに支障はないので大丈夫ですよ〜。お腹敏感のところ申し訳ないんですけど、もう少しお腹周辺に印つけますね」
くすぐりプレイでもないのに弱点がバレてしまっている…。
「はい…」
脱力してしまったら、確実に笑いながら動いてしまうので、鍛えた腹筋に力を入れ直す。
「3回横から横に線引きますね?」
「わかりました」
くすぐったがりすぎて、看護師さんも気を遣って予告してくれる始末だ。
そして、下腹部を横断するように、右の骨盤から左へとスーッとペンでなぞられる。
「うっ」
若干声は漏れたが、変な声は出さずに耐えられた。
「こんな腹筋すごいのに、敏感なんですね〜」
タオルの下の暗闇で目が見えなくても、お腹への視線を感じる。
「そうですね、鍛えてもくすぐったさには耐えられなっ、あはっ!」
話している最中に横腹から横腹をペンが横断し、思わず笑ってしまった。
「ふふふっ!そうみたいですね」
看護師さん、俺で遊んでいないか?
いや、テキパキと施術を進めているだけか…。
もう1度お腹を横断するように線が引かれ、案の定息は漏れてしまう。
「最後、おへそ周りに線引きますね〜」
「おへそ…はい…」
絶対くすぐったいじゃんか…
「ふふっ!最後なので頑張ってくださいね〜」
そう声をかけられると、おへその周りも乳輪周りと同じように四角く囲むようにペンが動く。
「あ、う、んっ!」
呻き声をあげながら、なんとか動かないように耐えるが、お腹がピクピク凹んでしまっているのが分かる。
「あ、すみません、もう1回だけ線引きますね〜」
お腹が凹んでしまったことでペンが上手く当たらなかったのか、おへその下をスッとなぞられる。
「はい、印つけ完了です。ふふっ、力抜いて大丈夫ですよ?」
看護師さんに気を遣われすぎて、恥ずかしすぎる…。
「あぁ、はい…。これって、みんな動かずにいられるものなんですか?」
みんなこの羞恥プレイを受けているのか気になって聞いてみた。
「んー、そうですね。くすぐったがる人はいますけど、長瀬さんは結構敏感さんな方かもですね」
「そうですか、すみません動いてしまって…」
「いえいえ大丈夫です。私も気持ちはすごくわかります。恥ずかしいし申し訳なくなりますよね?」
「そうですね、恥ずかしさが強いです」
「ですよね〜、私も全身敏感で…同じです。ふふっ!」
看護師さんが脱毛器の準備をしている間、雑談をして過ごす。
そうか、この可愛い看護師さんもくすぐり弱いのか…。
まずい、何を考えているんだ。ここは健全な脱毛クリニックだ。
疼くフェチ心を抑える。
くすぐり羞恥責めが終わると、当然レーザー脱毛が始まった。
背中同様、部位によっては痛みが強く、今度は必死に痛みに耐え続ける。
「はい、終了です。痛みは大丈夫でしたか?」
「そうですね。痛かったですけど、なんとか耐えられました」
「痛くて途中ストップする方もいるんですけどね〜」
「あぁ、そうなんですね」
「結構動いちゃう方もいるんですけど、長瀬さんの場合は印つけの方が動いてましたねっ」
「痛みより、くすぐったさの方が弱くて…」
「ふふっ!くすぐりに弱いところ申し訳ないんですけど、最後お拭き取りしていきますね?」
「ふきとり…」
つい復唱してしまう。
まだタオルで視覚情報を得られない状況の中、頭上でガサゴソ音がしたと思うと、肩に濡れタオルのようなものがあてられる。
そして、手の先まで優しく撫でるようにタオルでフキフキされる。
あまりくすぐったい部位ではないのだが、優しく拭いてくれるので地味にくすぐったい。
「もうちょっとゴシゴシしてもらっても大丈夫ですが…」
「あぁ、レーザーで肌にダメージがあるので、あまり強くやらない方が良くて。どこか拭き足りないところがありました?」
「い、いえ、ちょっと、強めに触ってもらった方がくすぐったくないかなと…」
「あぁ、ふふふっ!なるほど、すみません。肌のダメージを考えるとこれくらいの強さが良いかなと」
反対側の腕を拭きながら、事情を理解し笑う看護師さん。
「そういうことなんですね。なら、全然大丈夫です」
「さすがに拭く強さまで気になさる方は初めてですっ。はい、では背中を拭くので起き上がって、足を降ろして腰掛けてもらっていいですか?」
タオルを取られ、目の前が明るくなり、眩しさに目を細めながら指示通り起き上がる。
するとすぐに背中を優しくフキフキしてくれるが、これもまた地味にくすぐったく、つい背筋が少し伸びてしまう。
「ふふっ。すみませんねぇ〜、あとちょっとで背中は拭き終わりますっ!」
声は出していないし看護師さんは背後なので表情は見られていないので、くすぐったがっているのはバレていないと思っていたが、どうやらバレバレだったらしい。
「背面は終わりです。左腕を少し上げてもらえますか?」
「はい」
看護師さんが正面左側に移動してきた。
正面から拭くのかっ!
いや、背後からお腹側に手を回すのもそれはそれで変か。
恥ずかしいが従わない訳にもいかないので、指示通り”少し”30度ほど左腕をあげる。
「ふふふっ!すみません、腋に手が入らないのでもう少しあげてもらえますか?」
「あぁっ、すみません!」
意識せず防御反応が働いていたらしい。
45度ほどのところまで手をあげると、タオルで腋を優しくフキフキされる。
「うっ、んっ、あはっ!」
やばい、ペンでなぞられるのもくすぐったかったけど、これもくすぐったい!
それに顔をタオルで隠されていないので、正面から見られているのが恥ずかしすぎる!
「ふふふっ!あの、まだ閉じないでください〜」
手が若干下がってしまっていたらしく、看護師さんに手を掴まれて上げさせられ、拭き取りを続けられる。
「すみません、くふふっ。く、くすぐったくて、ついっ!」
「大丈夫ですけど、私と同じくらいくすぐったがりな人初めて見ました。はい、腋は終わりました。疲れると思うので、少しだけ降ろしていいですよ」
看護師さんが俺の手を少し降ろしてくれるが、まだ俺の手首を掴んだままだ。
「はい…」
「次は弱いお腹なので頑張ってくださいね〜」
看護師さんが若干いじってきているような気がする…。
そんなツッコミを入れる間もなく、すかさずお腹の左側を優しくフキフキしてくる。
「んっ、あっ、あひ、くふふっ!あはっ!」
そこは、くすぐったすぎるっ!!動いちゃダメだと分かっているのに、身体をよじらせてしまう。
「ふふふっ、あとちょっとですっ!」
「はいっ、すみません、身体が勝手に、あふふっ!」
看護師さんに手を持ってもらっていなければ、完全に手を降ろしてしまっていただろう。
身体をよじらせたまま、左半身を拭いてもらい続ける。
「こっちは終わりました。次逆側です」
看護師さんが目の前を通り、右側へと移動する。
「はい…」
俺はさっきと同じように、なるべく高く、45度くらいに右腕をあげる。
看護師さんは、今度は最初から俺の手首を掴み、腋にタオルを持った手を入れてきた。
「はうっ」
変な声が漏れてしまい、少し手が下がってしまう。
「ふふっ、あの、手動かないです〜」
腋に挟まった指がクニクニと動かされる。
「あっ、あははっ!」
くすぐったすぎて、完全に手を降ろしてしまう。
「あぁ、すみません。くすぐるつもりじゃなかったんですけど」
看護師さんはただ挟まっているアピールをするつもりだったのか謝罪してくる。
「こちらこそ、すみません!」
再度45度くらいまで手をあげ、必死にタオルでのソフトタッチに耐える。
「はい、拭き取りはここで最後ですよー」
俺の右手首を掴む看護師さんの手に力が入る。
そして、覚悟していた右脇腹にタオルが当たり、今度こそ声を出さず動かないように意気込んだ。
「うっ、くふっ!ふふふっ!」
意気込みも虚しく、1秒ほどで口から空気が漏れてしまい、身体も反対方向に逃げてしまう。
「もうちょっと、頑張ってください!」
脱毛というのはこんなに応援されるものなのだろうか、看護師さんが声をかけてくれる。
「はいっ、あひっ、ふふっ、あはっ!」
「よし、拭き取り終わりですっ!」
口が大きく開いてしまったところで、やっと終わってくれたようだ。
「はぁ、はぁ、すみません、迷惑かけてしまって」
「いいですよ〜。私もココの他の看護師さんにやってもらってる時ずっと笑ってますから」
タオルを片付け、棚にある道具を何やらいじっている。
どうやら、福利厚生とかでここの看護師さんは脱毛できるのか?
それにしても、くすぐったがりなことに理解のある看護師さんで良かった…。
「そうなんですね、看護師さんもかなりくすぐったがりなんですね」
プライベートでこんなフェチトークしてしまって良いのか?と思いつつも、この流れでは不自然ではないだろうと考え話を振ってみる。
「そうなんですよ〜、もう全身脱毛完了したので良いんですけど、毎回笑っちゃうし動いちゃうしで大変でした」
「くすぐったいと身体が勝手に動いちゃいますもんね…」
「そうっ、耐えようと思ってるんですけどね!と言ってるところでアレなんですけど、最後保湿用のクリーム塗りますね?」
「クリーム…塗る…」
「ふふふ!はい、塗ります。くすぐったくないように、なるべく手のひらで塗っていきますからね」
若干怯え気味に答える俺に笑いながら、手全体に白いクリームを塗り広げる看護師さん。
「あぁ、なるほど。それなら平気かもです」
「私はあんまり平気じゃなかったんですけどねぇ、はい、どうですか?」
背後から背中に手のひらで優しく塗り込んでくれる。
確かにこれなら大丈夫そうだ。
「指先じゃないので、大丈夫そうです」
「良かったです〜。まぁ、ここは私も大丈夫なんですよ」
看護師さんがクリームを手に補充し、俺の正面左側に移動してきた。
そして、左半身にもクリームを手全体で塗ってくる。
笑ってしまうほどではないが、お腹周辺はやはり若干くすぐったい…。
「あ、すごい。耐えられてますね!私これも笑っちゃって」
「はい。触り方を工夫してくれてるので、これなら、大丈夫、です」
時々感じるくすぐったさに耐えながら、看護師さんとは少し逆側に顔を向けて答える。
「ふふっ、お腹ピクピクしてますけどねぇ。はい、腋にも塗りますよ」
そう言いながら手を挙げさせてくるので、俺はそこでキープする。
二の腕あたりから腋の下へとクリームを塗り広げられるが、そこまでくすぐったさは無く耐えられそうだ。
そう油断していると腋の窪みあたりを指先で触られる。
「あひっ!」
お腹の力を緩めていたので、思わず声が漏れてしまった。
「あぁ、すみません。手のひらだと上手く塗れなくて…」
「いえ、大丈夫です。こちらこそすみません…」
左半身は終わったようで、右半身へと看護師さんが移動し、同じようにクリームを塗ってもらう。
「ふふ、お腹はやっぱピクピクしちゃいますね」
「はい、そこは弱くて、ククク」
看護師さんがもはや普通にいじってきている気がする…。
「はい、腋に塗ったら施術は全て終わりですからね〜」
手に補充したクリームをペチャッと腋につけると、それを塗り広げてくる。
「すごい、これよくじっとしてられますね?」
「ちょっとくすぐったいですけど、お腹よりは平気です」
「へぇ〜、そうなんですね。はい、これで終わりです〜〜〜」
看護師さんはそう言うと、最後、腋の窪みを指をわざと細かく動かすようにクリームを塗り広げてきた。
「あっ、ちょ、あははっ!」
「ふふふっ!はい、全部終わりですっ!」
ニコッと微笑み、クリームの蓋を閉め始める。
「最後くすぐりませんでした?」
「えぇー?腋は手のひらだと上手く触れなかっただけですよ〜?」
意地悪そうに微笑みながらそう答える看護師さん。
本当だろうか?わざとくすぐったくしてきたのか?
健全な脱毛クリニックなので、判断がつかない。
てか、可愛いすぎるだろ…。
施術は全て終了し、注意事項を説明してもらい、看護師さんは部屋から退出していった。
くすぐりプレイの後のような余韻、いや、不完全燃焼のフェチ心を抱えたまま、俺はフロントで手続きを済ませてクリニックを出る。
施術時のくすぐったさは恥ずかしすぎたけど、今思うと幸せな時間だったな…。
看護師さんの指名システムがあったならば、迷うことなく今日の椎名さんを指名しただろう。
次回も椎名さんがいいな…。
まさかの再会
そんなことを考えながら、俺はせっかく都心部に出てきたし、まだ18:00で余裕はあるし、と考え買い物をすることに。
買い物を終えると、1時間以上経過していたようで時刻は19:00過ぎに。
帰ってご飯を食べたいが、電車に乗る前に一休みしたくなり、脱毛クリニック近くのカフェに寄ることにした。
俺は2人がけのテーブル席を確保し、注文の列に並ぶ。
すると、夕食の時間帯だというのに混雑しておりすぐにお客さんが後ろに並ぶ。
都心のカフェはいつも混んでるなぁと感じながら、ショーケース内に並ぶ頼む予定のないスイーツを眺めながら自分の番を待つ。
ショーケースのガラスには、後ろに並ぶワンピース姿の女性が映っている。
はっきりと見えるわけではないが、可愛い雰囲気の人だな。
はぁ、彼女欲しいなぁ…。
自分の並ぶ位置が徐々にレジへと近づいていくに連れて、後ろには5人以上新たにお客さんが並んでいた。
一瞬後ろに並ぶ女性が視界に入った時、なんだか視線を感じた。
いや、気のせいか。上にあるメニューでも見ているんだろう。
それでも気になって、店内を見渡すフリをしながら顔を少しだけ後ろに向けてみると、やはりチラチラと俺のことを見てきている気がする。
確認せずにはいられず目線を向けてみると、相手も俺のことを見た瞬間だったようで、目が合いピクッとされてしまった。
「「あっ」」
お互いに声を漏らす。
ショーケースのガラスに映っていた可愛い女性は、さっき俺のことをくすぐ、いや脱毛の担当をしてくれた看護師の椎名さんだった。
「確か、月島さん、でしたよね?今日はありがとうございました」
1日に何人も施術しているはずなのに名前を覚えていてくれて嬉しいな。
「いえ、こちらこそです。仕事終わりですか?」
「はい。クリニック18:00までなのでもう終わって、読書でもしようかなと」
「そうなんですね、あ、自分の番だ。すみません」
話している最中だったが、俺の前に待ち客はいなくなり「先頭のお客様〜」と呼ばれてしまった。
中途半端なところで会話を終わらせてしまったことに後悔しながらも、俺はレジでコーヒーを注文する。
椎名さんは別のレジで注文をしており、もうバラバラになってしまった。
もうちょっと話したかったけど、仕方ないか。
少ししょんぼりしながらも、受取カウンターでコーヒーを受け取ると確保していた2人がけの席に戻る。
椎名さんはというと、なんとかフラペチーノっぽいものを持って近くのカウンター席に座ろうとしているところだった。
すると、俺の2人がけの席と椎名さんの席の間あたりを、コーヒーを持ちリュックを背負ったおばあちゃんがウロウロしている。
どうやら席を確保せずにドリンクを注文してしまったらしく、満席で席がないのだろう。
椎名さんもすぐ後ろを行ったり来たりするおばあちゃんに気がつき、事情を察したようだ。
おばあちゃんの延長線上にいる俺たちの目が合う。
「こっち来ます?」と声を出したわけではないが、ジェスチャーで椎名さんに意思を伝える。
椎名さんの方も、「はい」と口を動かし頷く。
「すみません、この席どうぞ」
椎名さんがおばあちゃんに声をかけ、自分の飲み物と荷物を俺のテーブルへと移動させる。
「えぇ?いいの?申し訳ないわねぇ、ありがとう」
俺は心の中で『いいんです!!むしろこちらがありがとうございます!』と返事をする。
「いえいえ、私は友達がいましたので大丈夫ですよ」
空いた席におばあちゃんが座ったのを確認すると、椎名さんが俺の前の椅子に移動してきた。
「椎名さん、優しいですね」
「月島さんの方から『こっち来ます?』って声かけてくれたんですから、月島さんも優しいですよ。ふふふ」
うお、天使か…。
椎名さんのニコッと微笑む表情にドキッとしてしまう。
椎名さんは天使の羽衣、いや、カーディガンを脱いでノースリーブのワンピース姿に。
椎名さんはテーブルに置いてあるフラペチーノであろう飲み物をパシャッと写真を撮ると、美味しそうに飲み始める。
「甘いの美味しそうですね」
「はい、5連勤最終日なので、疲れた身体に染み渡ります〜」
いけない薬でも入ってるんじゃないかと疑うほど幸せそうな表情に。
「身体を動かす仕事でしょうし、心も身体も疲れそうですね。自分も1時間くらい寝転がってただけなのに疲れましたし」
「看護師側は座れないので、確かに疲れますね。月島さんはくすぐったがりだから余計疲れたんじゃないですか?」
ストローに口をつけ、上目遣いで微笑みながら聞いてくるのは反則級に可愛くてずるい。
「確かに、身体にずっと力入れてたので疲れましたね。シェーバーも、ペンも、拭き取りも、クリームもくすぐったいし恥ずかしいしで…。俺のせいで椎名さんにも迷惑かけましたよね」
「ふふっ。迷惑ってほどでもないですよ。私も印付けの時動いちゃって、先輩によく怒られてましたし。けどもう私は終わったので、くすぐったさからは解放されました!」
脱毛が完了したという椎名さんのノースリーブから見える腕はスベスベそうだ。
「印付けは確かにやばかったです。次回もあのくすぐったさを味わうと思うと、他の看護師さんじゃなくて理解してくれてる椎名さんが担当してくれたら嬉しいんですけど」
「完全にランダムなので、運が良ければって感じですね〜。男性で声出してあれほど動いちゃうのは月島さんくらいで、後半楽しんじゃってたので私も次担当したいですよっ」
やはり、俺の反応を面白がっていたのか。
「え、やっぱりちょっと楽しそうでしたよね!クリーム腋に塗るときも指先で触ってきたのわざとでしたか?」
「あ…あれは、はい、つい…。すみません、毎回反応してくれるのが楽しくなってしまって…」
椎名さんにはぐり女の素質があるのかもしれないな。
てか、カフェでこんなフェチトークしていていいのか??
「やっぱわざとだったんですね。まぁ、いっそ面白がってくれて、くすぐったさに必死に耐えてる気まずさも無かったので良かったかもです」
「そうですよね!黙って進められるとちょっと気まずいですよね!」
少し反省モードだった椎名さんの表情がパッと明るくなる。
ちょっといじり甲斐のある人だな…。ここは…責めてみるか。
「けど、楽しくなってくすぐっちゃうのはねぇ…」
声のトーンを落としてそう呟いてみる。
「そ、そうですよね…。すみません、調子に乗ってしまって」
再びしょぼんとなる椎名さん。
なんと感情の分かりやすいことか。
「看護師としてやってはいけないことをしたので、罰ゲームです。手を出してください」
「手?」
疑問の表情を浮かべながらも、手を差し出してくる。
俺はその手首を掴み、勇気を持って手の甲をこちょこちょしてみる。
「ふふっ!罰ゲームってこちょこちょですか。これくらいなら、ふふふ。耐えられますよっ!」
手をグーパーさせ、口をぎゅっと閉じながらそう言う椎名さん。
くすぐったそうにしている姿が可愛すぎる!!
俺のぐり欲が上がってしまい、手の甲から肘の方まで人差し指でスーッとなぞっていく。
「あふふっ!くすぐったいっ!」
混雑しているカフェで色っぽい椎名さんの笑い声が小さく響き、俺はハッと理性を取り戻し、くすぐる手を止める。
「ちょっと、声!」
「だって、くすぐったいんですもんっ!手の甲で許してもらえます?」
椎名さんが俺の手を自身の手の甲に載せる。
やばい、こんなボディータッチしまくっていいものなのか?
それに、もうぐり欲が抑えられない!椎名さんをくすぐらずに帰るなんて生き殺しのようなものだ。
どうにかくすぐれるシチュエーションに誘導してやろう。
「耐えられる程度のじゃ罰ゲームになりませんよ?」
「うぅ…声出さないのは無理ですよぉ」
「なら、お店変えます?個室の美味しいご飯屋さんにでも」
どうだ、責めすぎだろうか?
「あ、それなら声出して笑っちゃっても大丈夫そうですね!」
引かれて拒否される心配をしていたのだが、意外とノリノリのようだ。
そこから俺たちは各々の飲みながら、近場の個室居酒屋を一緒に探して予約する。
なんだか彼女とのデートみたいだな…。
個室居酒屋でこちょこちょデート?
「こちらの部屋にどうぞ」と案内された居酒屋の部屋は、思っていたよりしっかり個室だった。
サイトに『個室』と書きながらもカーテンで区切るだけといったところも多いが、ここはしっかりドアで区切られている。
その分お値段も高めの居酒屋で、和食がメインのようで掘り炬燵スタイルだ。
「わぁ、しっかり個室ですね」
椎名さんも同じ感想のようだ。
俺はレディファーストを意識し、椎名さんを奥へ誘導する。
4人が定員の座席なのだが、妙に壁際に座る椎名さん。
不思議に思いながらも対面に座ろうとすると、声をかけられる。
「あれ、こっち来なくて良いですか?」
「え?」
「え、あ、いや、対面だと届かないかなって。そっか、ご飯、ご飯食べてからですよね!」
あ、そうか、罰ゲームでくすぐるために個室を予約したんだった。
可愛すぎる女性と個室居酒屋デートということで、粗相がないようにと考えを巡らせていたら目的を忘れてしまっていた。
「あっ、そうでした!そっち座っていいですか?」
「はい…なんか、罰ゲーム受ける側の私の方が覚えてて恥ずかしいです…」
壁の方を見つめて耳を赤くしている姿が、一瞬忘れていたフェチ心を一気に燃え上がらせてくる。
俺は座布団を椎名さんの方に少しズラし、距離を詰めて腰をおろす。
「すみません、お店が素敵で圧倒されてしまって。ほら、メニューもすごいですよ?」
立派なお品書きのファイルを開き、机に広げる。
すると、壁の方に寄っていた椎名さんの身体が戻ってきて肩と肩が触れ合う。
椎名さんはカーディガンを羽織っており、俺もニット越しだが、それでも伝わってくるほのかな体温がフェチ心をさらに刺激する。
早速くすぐりたいけれど、お店に入ってまずオーダーしないといけないだろうし「まだダメだ」と自分に言い聞かせる他ない。
「わぁ、ほんとだ。鍋すごい!お刺身も美味しそうだなぁ…」
接触していることにはあまり気にしていないのか、今度はメニューの写真に夢中だ。
「まだ冬ってわけでもないですけど、鍋がイチオシっぽいので食べてみます?」
「はい!そうしましょう!」
俺は、鍋以外に食べたいおつまみやサイドメニューを決める。
「椎名さん、他に何かあります?」
「えぇ〜、どれも美味しそうだけど食べ切れるかなぁ。うーーーん」
メニューをペラペラとめくりながら吟味している。
少し手持ち無沙汰になり、メニューを一緒に見ているフリをしながら椎名さんの表情や身体を見てしまう。
うっ、やばい、椎名さん側の俺の右手が、右手が、勝手に…。
右手に脳が宿っているのか、自力で止めることができない。
しかしいきなり身体に触れると驚いてしまうだろうから、口でカバーしよう。
「選ぶまで、俺がペンでされてたのと同じようなことしますね」
「え?ペン?なんのこっ!くぅっ!あひっ!ちょっと…背中、うふふっ!」
右手人差し指で椎名さんの背中を上下左右へなぞり始めると、身体を反らせて笑いを漏らす。
ビクッ、ビクッとする姿が最高に興奮する。
「何にします?」
「うぅ、ふふふっ!えぇと、えぇと、あはっ!むり、選べないですっ!!」
もうメニューを見る余裕はないようで、顔を伏せて笑いを堪えるのに必死な状態になってしまっている。
敏感だと聞いていたが、これはくすぐりに弱い俺よりもさらに弱そうだ。
早く注文しないとお店に迷惑がかかりそうなので、一度手を止めてあげる。
「はぁ、はぁ、くすぐったすぎる…」
「まだ罰ゲームはこれからのつもりだったんですけどね。それで、注文はもういいですか?」
くすぐったさで頭がいっぱいになったのか、もう選べないとのことだったので、俺は店員さんを呼び、鍋やその他諸々の注文を済ませた。
店員さんが部屋から退出し、再び2人きりの空間に。
「はぁ〜〜、頭に真っ白になりました。」
椎名さんは店員さんがいなくなった途端、へにゃっと壁にもたれかかる。
「さっきの背中なぞりだけでそんな疲れました?」
「月島さん、弱いところばっかりなぞってくるんですもんっ!」
しまった。
くすぐりフェチのスキルを無意識のうちに使ってしまっていたみたいだ。
「椎名さんが弱すぎるだけじゃ?まだ準備運動くらいに考えてたんですけど」
「うぅ、じゃあ罰ゲームはどこをこちょこちょにします?」
そうだな、それが肝心だ。
俺は1秒ほどで最適解を導き出す。
「んんー、じゃあ妥協して背中10秒声出さずに耐えられたら終わりでいいですよ?」
「え、背中で良いんですね!腋とかお腹とかされるのかと思ってました!」
「まぁ流石に可哀そうなので。けど、耐えられなかったら次は腋とお腹で10秒ですからね?」
そう、これが俺の作戦。
さっきの背中の反応で、背中の中でもウィークポイントは把握した。
この耐えられなかったら無限ループ方式でいけば、実質くすぐり放題だ。
「腋、10秒…。背中耐えれば良いんですもんね!さっきは不意だったから笑っちゃいましたけど、分かってれば大丈夫です!」
椎名さんは意気込むと、胸の前で手をクロスして組み防御体勢に入る。
「はい、じゃあ10秒いきますね?」
「はいっ!どうぞっ!」
良い返事が返ってきて、俺は背中で円を描くようになぞり滑らせる。
「んっ!んんん〜〜!」
身体がしなってうめき声をあげる椎名さん。
声は出てしまっているが、ギリギリ笑ってはいない。
これに耐えられてしまうのは想定内だ。
時間は短い、責めるか。
俺は先ほど反応の良かった背中の下の方をカリカリと引っ掻くようにくすぐっていく。
「ふひっ。くぅ、うぅ、あぁ、あはっ!」
8秒ほど経った頃、耐えきれずついに笑い声をあげ、斜めっていた身体がこちらに倒れてきた。
「おっと」
俺は倒れてきた椎名さんの肩を抱くように受け止めてあげる。
「はぁ、はぁ、くすぐったすぎますよぉ…そんなとこくすぐられたの初めてかもです」
確かに、ここをピンポイントでくすぐってくる非フェチはいないだろうな。
「ここ、さっきくすぐったそうにしてたので、集中責めしてみました」
反応が可愛くて楽しすぎたので、同じ部位をツンツンとしながら話しかけてみる。
「あぁ、もぉっ!や、あはっ!」
さらに身体が倒れてきて、俺にもたれかかる重みが増す。
やば、距離が近すぎる!
良い香りもするし、可愛いし、あったかいし、やばい!!
動揺しているとそこへ、他の声が響く。
「失礼致します」
ドアの向こうから店員さんの声がして、俺たちは反射的にバッと離れる。
離れると同時にドアが開き、店員さんの目からはどう映っていたのだろうか。
テーブルに飲み物が置かれ、続いて鍋がセッティングされる。
飲み物と鍋が同時にくるんだなと思いながらも、横で下を向いて息を整える椎名さんを横目で見守る。
店員さんも、椎名さんを心配そうにチラチラと見ながら鍋の具材の説明をしてくれた。
「では、失礼いたします」
鍋に火をつけ、店員さんが出て行った。
どうやら、鍋の具材はほぼ生の状態で、15分ほどここで煮込むらしい。
「椎名さん、ちょっと、店員さん不審がってましたよ?」
「だ、だって、月島さんくすぐるの上手すぎるんですもんっ」
「そ、そうかな?」
やばい、くすぐり経験豊富なことがバレるのは恥ずかしい…。
「はぁ、暑くなってきた」
くすぐられて力んで暑くなったせいもあるだろうが、単純に鍋の火のせいもあるだろう。
「カーディガン脱いだらどうです?カフェでも脱いでましたし」
「そう、なんですけど、防御力が低くなるので…」
そういうことか…
けど、できればくすぐる時の服は薄い方がくすぐりフェチ冥利に尽きる。
「なるほど、けど次の腋は前からくすぐろうと思ってたので、結局直で触れるのは変わりませんよ?」
下に着ているのはノースリーブだとさっきのカフェで把握済みだ。
「直接!?そんなの耐えられるわけないじゃないですか!」
「俺だって、クリーム塗られながら腋直接くすぐられたんですよ?」
「うぅ、それは、確かに…」
反論しようにも言葉が見つからず口をモゴモゴさせ、防具を1枚脱いでくれた。
スベスベの腕が露わになる。
興奮が高まりたくさんくすぐりたいけれど、やりすぎて嫌われるのは避けたい。
くすぐり無限ループにするのはやめておいてあげるか。
「耐えられなかったらもう1回は可哀そうになってきたので、腋とお腹をまとめて10秒くすぐって終わりにしてあげましょうか?」
「えっ!いいんですか!月島さんドS!って思ってたんですけど、やっぱり優しいですね」
「はい。手加減なしで10秒本気でくすぐって終わりにしてあげますね?」
「やっぱSだ…。腋とお腹は、私絶対耐えられないですからね?」
俺もくすぐりには弱いので、耐えようとしても抵抗してしまう気持ちは理解できる。
こういう時は何か掴まるものがあると違うんだが…。
「じゃあ、手は俺の肩をしっかり掴んでできる限り耐えててください」
「こう、でいいですか?」
肩にポンと手が置かれる。
「はい、腕引っ込めちゃダメですからね?」
「頑張りますけど…うぅ…」
ノースリーブで前習えのような体勢になり丸見えになった綺麗な腋へと、俺は手を伸ばす。
「じ始めますね?」
「はいぃぃ!」
俺の肩を掴む手にぎゅっと力が入るのが伝わってくる。
「それじゃ、いーち」
腋に直接触れ、細かいタッチで素早くこちょこちょし始める。
「きゃっ!あははっ!」
椎名さんは1秒経ったか経っていないか分からないくらいの段階で、俺の手をはたき落とすように抵抗してきた。
「ちょっと、防がないでくださいよ!」
「すみません、だって、くすぐったすぎるんですもんっ!」
椎名さんはくすぐりの追い討ちをされないようにか、俺の両手をぎゅっと繋いでくる。
女の子と手を繋ぐなんて、いつぶりだろうか…。
「じゃあ合計10秒ってことにして、あと9秒いきますよ?」
「うぅ、もう10秒経ってるから終わりにしません?」
可愛く上目遣いで聞いたら他の男なら応じていたかもしれないが、その可愛さは俺のぐり欲を刺激するだけだ。
「ダメです。俺の肩に手を置いてられた時間をカウントしますからね」
「そんなぁ〜」
椎名さんは嫌がる言葉を吐きながらも声色は少し楽しそうで、素直に俺の肩に手を置き直してくれた。
俺は再び腋に指をセットする。
「じゃあ始めますね、にーい、さ…」
「あぁ、あははっ!こんなのっ、耐えられるわけ、きゃはははっ!」
椎名さんは俺の肩に手を置いたまま、俺の胸に頭突きするように笑いながら突っ込んでくる。
「ちょっと、椎名さんっ!」
なんとか倒れずには済み、椎名さんの状態を戻してあげようとするも、椎名さんの身体は動かない。
「肩には手置いてますからねっ!もう5秒っ!あと半分!」
俺に密着し、必死に訴えかけてくる椎名さん。
確かに、俺が課した条件は『肩に手を置いている時間をカウント』か。
前習えの姿勢の時は腋がガラ空きだったけれど、今はゼロ距離になったせいで腋は閉じられてしまっている。
なら、他の部位をくすぐるしかない。
俺は狙いを脇腹に変え、指を立ててフルスピード指を動かしてこちょこちょする。
「やっ、あああハハハハハ!ちょっと、これ、やばああ、あははっ!!」
椎名さんが俺の方にさらに体重を預けてきて、支えきれず俺は後ろに倒れてしまう。
「だ、大丈夫ですか?」
俺に覆い被さる椎名さんに声をかける。
「だ、だいじょうぶです。肩に手は置いてるので、終わりですかね?」
俺の上で椎名さんがニコッと微笑む。
「10秒くすぐれてないんですけど!」
「えー、肩に手を置いてるだけで良いんじゃなかったでしたっけ?」
「そう、ですけど…。じゃあ最後一瞬だけ」
これで終わりは悔しすぎるので、脇腹を一瞬だけ揉み込む。
「あひっ!」
椎名さんの身体が一瞬ビクンと跳ねる。
「はい、これで終わりです」
「ちょっと、時間外ですよ!」
椎名さんは俺に覆い被さったまま、俺の胸をポンと叩く。
「だって、ズルいじゃないですかっ!」
「そうかもですけど、くすぐったすぎてわざと倒れ込んだわけでもないんです〜!」
確かに、故意に突っ込んできたと言うより反射的な動きに見えた気がする。
「そうですね、じゃあ罰ゲームは終わりにしてあげます」
「やった、これで私が最後こちょこちょしちゃった件はチャラですね!」
「はい、おあいこです」
俺は椎名さんの身体ごと上体を起こす。
「……。」
座り直した椎名さんが急に黙り込む。
「どうかしましたか?」
「うーん、おあいこっていうより、月島さん最後時間外にくすぐってきましたし、今度は月島さんが罰ゲームの番じゃないですか?」
目を細めて睨むように指摘してくる。
睨む表情も可愛いのだが。
「え…?それは…」
「私だって、クリーム塗り終わる時にほんの一瞬指動かしただけで今こんなにくすぐられた訳ですし?」
理論としては正しいか。
「確かに、そう、なるんですかね…」
「やった。あ、けど、今は脱毛したてで肌にダメージがあるので、あまり刺激しない方が良いかもですね…」
嬉しそうにした椎名さんだったが、すぐに残念そうな表情に変化する。
「あ、そういえばそうでしたね。それなら、また今後プライベートで会いません?」
「ぜひ!その時にお肌のことは気にせずたくさんくすぐりますね!」
こちょこちょとジェスチャーをしながら笑顔で了承してくれた。
やばい、嬉しすぎる!
俺たちはLINEを交換し、そして椎名さんをくすぐっている間に火の通った鍋をいただくのであった。
〜fin〜

\くすぐり小説リクエストについて/
- こんなくすぐり小説が読みたい!
- このアニメ、このキャラがくすぐられている小説がいい!
- この部位のくすぐりが好き!
などございましたら、下記フォームからコメントしてください!


